帰国.JP /ただいま日本2022
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準備❶や家族構成など、優先事項となるポイントを押さえておこう。子どもがいる場合は、子女教育の環境も重要なポイントとなる。ただ、日本では、海外に比べて住居費が高く、ゆったりとした広さをもつ満足できる住まいを探すのはなかなか難しい。赴任地の住居が広々としていた場合には、日本の住居感覚に慣れるのに時間がかかる人もいるだろう。優先事項をはっきりさせておくことで、限られた選択肢から選ぶことができるようにしておきたい。賃貸している場合、まずは入居者の契約時期を確認。住居の痛みもクリアにしておく。持ち家を賃貸している場合は、帰国してすぐに入居できるかどうか、契約内容の確認を。すぐ入居できない場合は、賃貸物件を探す。また、住居の痛みについても、借主の補償について、確認する。賃貸借契約期間中の家の〝損傷〟問題は、欧米と日本では扱いが異なる。欧米では契約時のチェックがかなり厳しいが、日本ではそれほどではない。したがって持家の〝損傷〟を一概に借主の責任にするわけにはいかない。賃貸に出していた場合には、まずは我が家の〝損傷〟の程度を冷静に診断しよう。 〝損傷〟の程度は「原状復旧」と「自然損耗」の違いがある。「原状復旧」とは「借主が、貸主に対して無断で部屋の模様替え等を行った場合に、これを元の状態(原状)にもどす」ということである。この場合の「いちじるしい損耗」については借主に対して補修を請求できる。一方、経年劣化による損耗を「自然損耗」といい、「原状復旧」の対象にはならない。同じ住宅とはいえ、数年間の賃貸を経て返還された時には、貸した時点の状態ではなく経年劣化を含む状態になっている。畳を例に挙げると、タバコ等による焦げ跡は原状復旧の対象となるが、日焼けや箪笥置いた跡については補修の請求はできない。なお、保証金(敷金)の返却額に関するトラブルについては、一般的に借主有利になっているのが実状のようである。入居前にできるリフォームで気持ちの良い新生活本帰国後の新生活。やはり、住み心地の良い自宅で迎えたい。ひとくちにリフォームといっても、それ程費用のかからない方法もあるので、取り急ぎ入居前に最低限のリフォームをしておくこともできる。具体的には、畳をかえる、カーペットのクリーニングをする、浴室の壁などに結露現象が見られる場合のペンキの塗り替えをする、などがあげられる。手早くこれらのリフォームをするだけで、だいぶ住み心地は違う。空き家にしていた場合や、入居者の退去から数カ月経っている場合には、給湯機などの調子が悪くなるケースも多い。入居してから、確認が必要な事項として覚えておこう。思い切ったリフォームは家族で話し合ってじっくり計画。老朽化や内装等の経年変化に加え、子どもの成長による収納スペースや部屋の不足…。海外での生活を終えて改めてわが家を眺めてみれば、いろいろな不備が目につくだろう。帰任を機に、思い切ってリフォームするのもひとつのタイミングなので検討してみよう。計画を立てるときは、決して業者任せにしないで、家族全員それぞれの希望を十分に反映させることが大切だ。実際に生活するのは自分と家族である。まずは、毎日の生活を振り返った上で、現状の住宅の不満な点・改善したい点をリストアップする。その後、具体的にイメージするために、家具のサイズを縮小した紙片をつくって間取りを検討する。イメージが固まったら、最新の情報を集めて仕上げ表や設備・器具リストを作成する。ただし、マンションのリフォームは管理組合規約に従い、その範囲内の工事にとどめる必要があるので注意すること。とは言え、家族の夢がどんどんふくらんでも、建物の構造と空間には限界がある。自分だけでは判断できにくいこともあるので、専門家にも相談した方がよいだろう。業者選びは慎重に。契約前にポイントを確認大手のハウスメーカー、デザインショップ、建築設計事務所、工務店などの中から意向に合う業者を慎重に選ぶ。インターネットでリフォーム会社を検索・比較するサイトもあるので、上手に活用しよう。リフォームは費用の目安が立てにくいため、無料見積り自宅に帰るか、賃貸か、新築か。それぞれに準備が必要。第Ⅱ章帰国が決まったらすぐに方針を決める本帰国が決まったら、すぐに帰国後の住居をどうするか、方針を固めよう。住む場所を決めることができれば、子どもの学校選びもしやすくなる。また、可能であれば一時帰国の際に、賃貸物件や、展示会などに足を運び、実際に自分の目で確かめるようにしておこう。いざという時に判断材料が増えて安心だ。ゆったりと広い住宅探しは難しい通勤・通学など優先事項を明確に物件を探すときは、通勤の便利さ、                     日本・本帰国ガイド住居の広さ、帰国後のライフスタイル1方針の決定2賃貸物件を探す3持ち家に帰る帰国後の住居の方針決めは、優先事項の一つ。持ち家であれば手入れやリフォーム、そうでなければ賃貸か購入について情報収集を。一方で、通学、通勤、家族の事情など、考慮すべき事柄も多い。まずは、帰国後の生活における住まいの優先事項を明確にして計画を立てよう。帰国後の住居帰国後の住居15

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