帰国.JP /ただいま日本2023夏号
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「小学校3年生からずっと塾に通っていて、やるべきことが与えられている環境でした。たら全てを自分で決めなくてはなりません。ではなく、むしろ難なくクリアし続けてきたという小川さん。もしかすると、初めてたのかもしれません。その苦しさを抜けた「ベッドに寝転びながらぼんやり『なんで生ていたのですが、チョイスするニュースも書いうものばかりだったんです」の助言を受けてのものでした。「SFCは、特定の分野だけを学ぶのではところが、東京インターハイスクールに入っ自由度の高さに圧倒されてしまったのか、調子を崩してしまったことがあるんです」与えられたミッションをこなすことが苦自分と真正面から向き合い、本当に取り組みたいこと、学びたいことを探す経験だっとき、大学や社会人になってからも取り組み続けているテーマと出会ったと話します。きているのだろうか』と考えるうち、『幸せ』を基準として行動していることに気づきました。いろいろなニュースを読んで自分の意見を書くことを自分のカリキュラムにしく内容も『どうすれば幸せになれるか』と幸せな社会をつくりたい――。壮大ながら、確固たる目標を見据えることができたのは、コーチが常に伴走し、定期的に話し合って思いを引き出してくれたことも大きかったと小川さん。慶應義塾大学のSFCに進路を絞り込んだのも、コーチなく、100も200もある中から自由に選んで、やりたいことが自分なりに構築できる環境があります。新たな社会をつくるには、できるだけたくさんの分野を横断的に学ぶ必要があると思っていたので、『ここだ!』と直感しました」小川さんが「幸せな社会」という目標にたどり着いたのは、多彩なバックグラウンドを持つ生徒が集まる環境も影響しているようです。「私は、男子校特有のノリみたいなものがどちらかというと苦手なんです。もちろん話は合わせるんですけど、今から思えばやっぱり好きではなかったんですよね。その点、東京インターハイスクールは全く違いました。中高一貫校で私は『マジョリティの中のマイノリティ』でしたが、東京インターハイスクールは全員がマイノリティなんです」海外生活が長いため、日本人だけれど      います。も英語のほうがスムーズに出る生徒もいれば、英語が理解できない生徒もいます。でも、言葉の通じない生徒ばかりがいる空間なのに、コミュニケーションが成立して「言葉が通じなくても、ごく自然に声をかけあう場所なんですよね。誰でもとにかく受け入れるんです。これは私にはとても新鮮でした。個性とかやりたいこととか、『面白い』『こうありたい』という気持ちも生かせるので、なりたい自分であり続けられます。かといって、無理に馴れ合うわけではないんですよ。私は、渋谷キャンパスへ週2回のペースで通っていましたが、本当にたまにしかやってこない生徒もいますし、入学時期もまちまちです。『多様性があるってこういうことだ』と今になって思いますし、日本の学校でそれを体感できるのはかなり珍しいと思います」そういう環境をもっと社会に広げたいという小川さんの思いは、今も変わりません。慶應義塾大学SFCを卒業後、「世の中を面白くしたり、みんなが面白く生きるために貢献する」という面白法人カヤックの理念に共感して就職を決めたのは、ごく自然な流れだったのかもしれません。「カヤックはもともと広告とゲームの会社ですが、『ちいき資本主義事業部』というのがあるんです。経済的な豊かさだけを追い求めるのではなく、人のつながりやコミュニティ、自然や歴史、文化などの魅力を活かして地域の豊かさを実現しようという事業を展開しています。私はその中で、『まちのコイン』という地域のつながりづくりのためのコミュニティ通貨サービスに携わっています」そうやって人と人の豊かなつながりを広げることで、幸せな社会づくりを実現していきたいと目を輝かせる小川さん。「東京インターハイスクールで、自分がいたいようにいられる場所を確保できたおかげです。私と同じようにいろいろな悩みを持っている子がいたら、雰囲気だけでも味わうことをおすすめします。キャンパスにいるコーチと少し話すだけでも違うと思いますよ。そういうちょっとしたつながりを主体的につくる体験をしてほしいですね」受け入れられるから、なりたい自分でいられる「幸せな社会」を生み出していきたい 小川さんは、東京インターハイスクールに編入したとき、おそらく何をしたらいいのかわからない状態だったと思うんです。ですからとにかく話を聞き、対話を続けました。そうすることで気持ちを落ち着けて、自ら次へ進んでいましたね。そうやって好きなこと、興味を持ったことにいろいろ取り組み、自分の道を見つけていました。小川さんに限らず、安心して自分らしさを出すのはとても大切なことなので、私たちコーチは「もっと出していいよ」というメッセージをあらゆる方法で常に伝えています。東京インターハイスクール 東京都渋谷区渋谷1-23-18 ワールドイーストビル4FTEL:03-6427-3450 FAX:03-6427-3451 Skype ID:interhighschoolE-mail:info@inter-highschool.ne.jp URL:https://www.inter-highschool.ne.jp/|問い合わせ|Voice向き合い、対話することで主体性は自ずと顔を出します小川功毅さんの担当コーチだった諏訪久美さん

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