帰国.JP /ただいま日本2024
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132伝統と革新が融合した工芸品「近江一閑張」の魅力をリノベーションした蔵空間で堪能水の流れる堀と緑に囲まれた昔ながらの蔵。2023年6月にオープンしたこちらは、「近江一閑張(おうみいっかんばり)」を生み出した蛯谷工芸の店舗です。歴史の流れを感じる空間の中で、数々の魅力的な作品が販売されています。コップやティッシュケースなど、伝統工芸品を現在の生活にフィットした形へ進化させているのが印象的です。「一閑張」とは、竹を編んだものに和紙を張り付け、漆や柿渋で塗り固めて籠などの生活用品を作る伝統的な技術。「近江一閑張」は、竹の代わりに紙紐を使い、「より軽く・より丈夫で・形が作りやすい」三方よしの工芸品を生み出しています。「私の祖父(金介さん)が考案した独自の技術です。例えば籠の制作では、側面と底の5面を内側・外側、計 10面に和紙を張りつける工程を2回繰り返します」と話すのは3代目の蛯谷亮太さん。重ねて張りつけてもよれなく仕上げる技は、機械にはまねできない複雑さと繊細さです。亮太さんは現在、「近江一閑張」を世界へ広めるため、アート作品も制作。伝統工芸品の新たな可能性を切り開こうとしています。店舗ではワークショップの実施も検討中。インスタグラムなどSNSでも積極的に情報発信しているので、ぜひチェックしてみてください。05近江一閑張 蔵 -KURA-○ 住 滋賀県近江八幡市大杉町12 八幡堀 石畳の小路○ 電 090-8381-5788○ 営 10:00~17:30/定休日:火曜日近江一閑張 蛯谷工芸○ 住 滋賀県湖南市正福寺1328-20○ 電 0748-60-7578○ H https://ebitani.jp/ [オンラインショップ] https://ebitani.shop/ほんのりと淡い色合いは塗りではなく、和紙を張り重ねることによって表現しています。こうした作品を手に取れる店舗は海外からの観光客でも賑わいを見せており、「実際に持った時の軽さ、家族で技術を繋いでいることなど、新鮮な驚きをもらうと嬉しくなります」と亮太さん。若い世代向けの作品開発や海外進出にも意欲的です。作品はオンラインショップでも購入が可能。ぜひのぞいてみてください。1 2023年6月にオープンした昔ながらの情緒漂う 「近江一閑張 蔵 -KURA-」2 近江一閑張の技術を余すところなく施した籠は、  特に多く制作されている作品3 最近ではタンブラーなどの新しい商品開発にも挑戦中。  伝統工芸品ながらもモダンな雰囲気も感じられます

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