帰国.JP /ただいま日本2024夏号
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生が使う教科書や問題集など、教材選びの相談に乗ってくれたほか、定期的に行う面談を全て日本語に切り替えてくれました。間違った言葉遣いをその場で指摘してくれたり、日本語のテキストを読み合わせてくれたりしたので、とても勉強になりました。おかげで、日本語能力試験のN1(5段階ある同試験で最も難易度が高く、平均合格率は約30%)にも合格できました。大学に入りたいと思いましたが、提出する小論文には日本人と同等の文章能力が求められます。しかも関西大学は偏差値も高いので、非常に大変でしたが、本藤さんだけでなく、日本語教師をしている他のコーチからもサポートを受けたおかげだと思っています。コーチのサポートが大きかったですね。ちょうど本藤さんの息子さんが関東の大学のオープンキャンパスに行くということで、同行してくれたんです。ただ優しいだけでなく、自分でちゃんと他の大学の訪問ができるための練習と位置づけてくれたのがわかったので、関西大学への訪問もしっかりできました。私はすごく臆病な性格でしたが、自分でしっかり動けるようになったのは自信につながっています。他の言語にも興味が出てきました。それに、同級生から、「ルチアは日本で生まれ育ったんでしょ?」といわれるほど日本語力が上がった一方で、母国語であるドイツ語が少しおかしくなったんです。国語に影響が出るという仮説を実証してみたいと思いました。調べたところ、それができそうなのが言語科学で、ぴったりの研究室が京都大学にあったので大学院入試を受けたら合格できました。現在オープンキャンパスで魅力を感じ、関西慣れない日本で大学選びができたのも、関西大学では日本語を学びましたが、その経験から、外国語を学ぶことで母は、「外国語を習得する際の他言語への影響」をテーマに研究を進めています。将来は、成果を社会の役に立てられる研究者になりたいですね。言語学的な観点から効率的な外国語学習方法を開発するなど、語学学習者の学びの架け橋となれたらと思っています。ドイツでは「大学で勉強したい」という人だけが大学に進学します。なので、日本の大学で授業中に寝ている学生を見たり、「授業に出たくない」という声を聞いたりしたときはびっくりしました。大学に入るのに必死で、高校まで厳しい指導に従うことに慣れてしまい、「圧力」がなくなると気が抜けるのかなと感じます。でも、社会に出てから、親や上司の指示に従ってばかりいるわけにもいきませんよね。やはり自律的に取り組まなければならないので、東京インターハイスクールで主体性を育むのはとても価値があるのではないでしょうか。特に、挑戦したいことがある人、叶えたい夢がある人は、ぜひ体験入学をしてみてほしいと思います。ーー大学は関西大学に進まれましたが、留学生入試ではなく一般のAO入試で合格されています。ーー関西大学卒業後、京都大学大学院へ進もうと思ったのはなぜですか?ーー最後に、中高生へメッセージをお願いします。(左) 関西大学の卒業式でご両親と。ドイツ人は一般的に保守的な考えの人が多いとされ、周囲には日本への留学を心配する方もいたそうです。しかしご両親は「ルチアさんのやりたいことを応援したい」と全面的にサポート。ルチアさんも必死に頑張り、奨学金を獲得して充実した大学生活を過ごしました。(右) ルチアさんのお母さんと「日本のお母さん」と慕う東京インターハイスクールの本藤コーチ。今では家族ぐるみのお付き合いをしているそう。KUMONや日本語能力試験の問題集など、東京インターハイスクール在学中に使用した教材。 ドイツ人の高校生が「日本人になりたいです」と門戸を叩いてくれました。日本の大学に「留学ではなく進学」を目標とし、日本語を専門的に学びたいという夢を持っていたのがルチアさんです。 私たちは、生徒がどんな考えを持っていようとも、とことん話を聞いて受け止め、夢を実現するためのマイルストーンを一緒に考えます。自分で夢を描き切ると、不思議なもので生徒自身がそれぞれのペースで動き出すのです。だから、提案やアドバイスはしますが、必ず本人に決めてもらいます。ルチアさんには、ドイツ在住のオンライン生であったため、たくさんのハードルがありました。それを乗り越えていけるお手伝いができたことは、東京インターハイスクールの学習コーチとして、とても誇らしく思っています。       57東京インターハイスクール 学習コーチ 本藤克子さんどんな夢でも応援し、 実現のための道すじを一緒に探します。Voice

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