帰国.JP /ただいま日本2024夏号
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抜本的に強化された     英語教育大学の国際化と    入試の変化英語選択入試の普及帰国枠受験も活用して 改定された中学の新学習指導要領において英語教育は抜本的に強化され、従来1200単語程度であった学習レベルが小学生からの学習も含め2500単語程度まで一気に引き上げられました。教科書の文章レベルが上がり分量が増えただけでなく、読む・聴く・書く・話す4技能のバランス良い指導が要求されています。教育現場では、教師から単語を始めとして増加した内容に時間が足りないとか、英語が難化し生徒間の差が開き始めているなどの課題を指摘する声も上がっています。また、改定が続いている高校の学習指導要領も大幅に英語が強化され、5000語程度の単語の習得や毎年長文化が進む文章読解力に加えてスピーキングやライティング力も必要となっています。 年々、少子化が進み、大学の国際競争力低下が叫ばれる中で、東京工大と東京医科歯科大が統合して開設する東京科学大学では学内の国際化を進め、優秀な留学生を受入れていくことも視野に入れ、英語を公用語とすることが発表されました。また、大阪公立大学でも公用語を英語とし、秋入学制度の導入をめざしていくとされています。さらに東京大学は2027年秋に文理融合型の英語オンリーで学ぶ学部4年間と修士1年間の5年制の「カレッジ・オブ・デザイン」を設置して、複雑化する世界的課題に対応できる人材の育成を目指すといいます。 こうした大学の国際化の流れを受け、大学入試でも大きな変化が進んでいます。3年前に導入された共通テストでは3年連続6000語を超える単語数(以前のセンター試験の約1.5倍)の長文が出題され、文法問題は姿を消し、もっぱら長文読解力問題へと様変わりしました。そして、全体の5割がこうした長文読解問題、残りの5割はリスニング問題になりました。リスニングでは約6割が再生回数1回で解答する必要があり、一般生にはレベルの高い問題となっています。また、多くの私立大学ではすでに英語外部検定試験利用入試が実施されており、TOEFLやIELTS、英検などの外部試験でCEFR(欧州言語共通参照枠)のB2レベル(英検なら準1級、IELTSなら5.5レベル)以上の成績があれば有名大学の入試で圧倒的に有利になります。首都圏では早稲田、上智、東京理科大、明治、青山、立教、中央、法政、また関西では関学、立命、関大など難関大学入試において別枠で有利な受験が可能となり、一般入試でも英語に大幅な加点、または高得点に換算されるなどB2レベル取得者には圧倒的なメリットがあります 以上のように国内の大学では国際化が進み、入試でも英語の難化と重要性が増しており、従来よりも合否のカギを握る英語を圧倒的に得意にすることの価値が高まっています。帰国子女が英語力を保持し、伸ばしていくことは将来の海外留学のみならず、国際化した国内難関大学への入試や入学後の学生生活(交換留学制度の利用など)でも活用でき、可能性は大きく広がっていると言えます。 こうした流れの中、「英語ができる生徒」を獲得するため、英語を入試科目として選択できる「英語選択入試」を導入する中高一貫校が首都圏を中心に増加を続けており、2024年の春には142校が実施し、首都圏の約半数の中高一貫校が英語を活用した入試を行っています。来年は難関進学校の豊島岡女子が英語入試を導入することが話題を呼んでおり、今後、中学入学段階で英検2級以上の英語力を有する生徒に門戸を広げ、英語難化が進む大学入試に対応していく難関進学校も増加していくと思われます。 以上、お伝えしてきた英語教育および入試の潮流を海外子女・帰国子女の保護者である皆さんはどう捉え、どのような準備をしていけば良いのでしょうか。文法訳読方式の旧態依然とした入試問題はすでに過去のものとなっています。今はスピード感をもって大意把握できる長文読解力やハイレベルなヒアリング能力、そして柔軟な発想で積極的に英語表現できる発信力が求められ、中学入試でも大学入試でも帰国子女のもっている英語力が大いに活用できる環境が既に整っています。低学年で帰国した帰国子女にとっても英語入試では、帰国枠受験のように帰国後3年以内などの制限がないため、英語力を活用した中学受験の選択肢は大幅に広がりました。次のページ以降で今年春に実施された英語選択入試の結果として、各校(抜粋)の応募者数、受験者数、合格者数や試験内容、また学校からのメッセージを紹介していますのでご覧ください。グローバル教育に積極的に取り組み、大学入試実績を年々伸ばしている学校も多く、入学後も英語取り出し授業など手厚い英語指導を受けられることを考えると帰国子女の有力な進路の選択肢とされるべきと考えます。 また、従通りの中学帰国枠受験についても、長年にわたり帰国生の特性を生かしつつ、将来の可能性を広げてくれる教育を実施されている素晴らしい中高一貫校が多数あります。併せて次のページ以降で今年春に実施された帰国枠入試の結果として、各校(抜粋)の応募者数、受験者数、合格者数や試験内容、また学校からのメッセージを紹介していますのでご覧ください。 保護者の皆さまには、ぜひ子どもたちが海外生活で必死に身につけた英語力の価値を確信いただき、その力を維持・向上させるべく取り組み、中・高・大と英語を武器として活用し、将来、国際的に活躍する人材として育っていく道を確かなものとして頂きたく心より願っております。自由が丘校・池尻大橋校・たまプラーザ校・祖師谷大蔵校・用賀校・新浦安校自由が丘校・新浦安校・たまプラーザ校・祖師谷大蔵校EFFECT International Schoolケンブリッジ英語学童首都圏において約20年間、約8000人の帰国子女を指導してきた英語専門塾。特に小学低学年の帰国生の英語維持・育成のノウハウには定評があり、帰国枠受験や近年広がっている英語選択中学入試に繋げていく指導にも多くの実績がある。情報提供: EFFECTインターナショナル・スクール中学英語受験のメリット−大学入試や留学まで見据えた価値−

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